星野真澄『日本の食卓からマグロが消える日』NHK出版

この本を読もうと思ったのは、乱獲のせいで魚がいなくなっている、と聞いたときに、それを食べたがる人がいるからだ、というカタチで批判が構成されることがあるかと思うのですが、そのときに自分はそんなに魚を食べていなしなあ、って感じで他人事のように思っているかもしれなかったからです。

この本はNHKの番組制作のための取材の成果をまとめたものだそうで、星野さんはNHKのディレクターさんのようです。

タイトルをみて連想してしまったのは、日本の食卓から消えても、世界のどこか他の国の食卓には並んでいるということでした。こういう連想からは、既に存在しているマグロをめぐって商社などで争奪戦が起こっているという連想につながるのですが、どの国が高い値をつけるか、とか、買い上げる際の条件がいいか、といった観点が出てくるかと思うのですが、そういった諸々のこと自体が海から魚をいなくしているという観点がこぼれ落ちていってしまうような気がしました。『飽食の海』とは、とりあげる視点というか、問題が違う本なんだと言われてしまえば、それだけのことかと思うのですが、どうなんだろう、と思ってしまいます。

「底引き網で捕ったギンダラは、網の中で魚同士がぶつかり、傷がついたり身が崩れたりしてしまうことが多い。品質管理に厳しい日本では敬遠されるため、双日は延縄船で水揚げした魚だけを選んで買っていた。」(p149)『飽食の海』の中で、マクドナルドが使っている魚が環境という観点で悪くない、という環境保護主義者にとっては好ましくないことについて書かれていましたが、マクドナルドはそういった観点でアピールしていない、といったようなことも書かれていました。商品として魚を考えるときに、魚の絶滅といったことは忘れられる、というか、知りたくないことなんだなあ、と思います。

飛行機を使えば、文字通りオーバーシーで海外ですが、その下に広がる海のことを海上でも海中でも全然知らないことをこういった本を読んでいるとひしひしと感じます。