読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『百万円と苦虫女』

映画の感想

百万円と苦虫女』という映画を観てきました。この映画を見ようと思ったのは、TVでCMをやっていて、その中で「自分を探さない旅」というフレーズがあったためです。

主人公である女性は、あるきっかけで刑事告訴されてしまいます。「前科者」になってしまった彼女は実家から出ることとなるのですが、そのとき、100万円貯まったら次の場所へ引っ越すこととして、いろんな地を転々としようと決めます。この、100万円貯まったら、というルールは結構、ハードルが高いと思うのですが、劇中、彼女は3回引越ししていました。多分、まるまる100万円貯まったら移動するというのではなくて、前の引越しで減った分を稼いで再び貯金が100万を超えたら引っ越すことにしていたのだと思います。

元有名サッカー選手の世界放浪が「自分探しの旅」と表現されていたような気がしますが、さすらっていくことが自分という目的に収斂していくようなものではなくて、作中、彼女自身の言葉として語られているのですが、自分のことを誰も知らない街に行ってみたい、というのは、元々ある自分から遠ざかっていくようで、同じような移動でも、ベクトルの向きが反対なんだな、と思って印象的でした。

お話しの結末なのですが、主人公の女性は携帯電話を持っていない設定で(弟に友達がいないから要らないんだ、と言っているシーンがあります。でも、その後に弟くんと手をつなぐ流れになっていて、手をつないだ二人の後ろ姿はなんとなく好きでした。)、もし、携帯をもっているような人だったら、結末って変わっていたような気がして、仮に携帯電話が今ほど普及していなかった時代って、人とのやりとりの一回性のようなものに対する感覚が違っていたのかな、と思うと同時に、携帯電話の普及によって「来るわけないか」というすれ違いも減ったのかなー、とぼーっとしました。