林幸司『ドキュメント精神鑑定』洋泉社新書y

この本を読もうと思ったのは、『そして殺人者は野に放たれる』を読んで、精神鑑定ってなんなんだろう、と思ったためです。

「精神鑑定にまつわる誤解を解く。これが本書の狙いである。」(p277)精神鑑定について批判されたりすることが多いけれど、ほんとは精神鑑定について分かっているの?という感じの前提からこの本は書かれたようでした。以下、章題です。「精神鑑定とは」「メイキングオブ精神鑑定」「精神鑑定ケーススタディ」「精神鑑定のたどる道」。

読んでみて、私はあんまりよく分かりませんでした。多分、思い込みだと思うのですが、「メイキングオブ精神鑑定」の中で鑑定について証人尋問されるときに気をつけている点とか記述されているのですが、その部分がゲーム感覚で捉えているように感じられて、で、その感じが『そして殺人者は野に放たれる』での日垣さんから感じられる雰囲気と全然違っているような気がして、なんというか、事件関係者に対するまなざしのようなものの違いのような気がして、よく分からない感じがしました。

一点、多分本筋とはズレているかと思うのですが、林さんがカウンセリング万能主義への反対の路線で書かれている部分があるのですが、そこでカウンセリングを次のようなものとして捉えているのが気になりました。「カウンセリングには、人の悩みや苦しみの原因をその人以外のものに発見しよう発見させようとする傾向がある。誰でも、問題や責任は自分以外にあるという説明には飛びつきやすい。」(p251)前に小沢牧子さんの本だったと思うのですが、カウンセリングに反対する理由として、責任や問題を個人に帰してしまって、その人以外の原因から目をそらせているんじゃないのか、ということが挙げられていたと思うのですが、同じようにカウンセリングに反対するにしても、まるで正反対な捉え方をしているようで気になりました。それって、反対したい、というのが先にあって、理由はどうとでも作れるということなのかな、と思ってぼーっとなりました。