椎名高志『絶対可憐チルドレン』12巻 小学館

絶対可憐チルドレン』というマンガの12巻目を読みました。

この巻の中でブラック・ファントムの黒幕のような人がシルエットで登場してセリフを言っているシーンがあります。(p131-2)ブラック・ファントム(黒い幽霊)は人間の意志や思念のようなもので、このお話しに登場する反超能力組織「普通の人たち」のように、どこにでもいてどこにもいないようなもののようにも思えるのですが、こうやって、はっきりと人の形をとって描かれると、一個の主体を見てしまいます。

宮部みゆきさんの小説の中で、ある警部さんが、昔は悪の組織とか、相手とするものが明確だったけれど、最近の犯罪は個人化していて、敵として認識する大きな主体がなくなってきていて、難儀だという感じのセリフを言っているものがあったのですが、敵が例えば一人の人として想定できずに、漠然とした「みんな」というもののように感じられたとしても、実は依然として黒幕が一人の人として存在しているかもしれなくて、そうすると敵がその人だったという結果だけみれば、昔も最近も同じかもしれないのですが、「敵は一人ではない(敵は「みんな」である)ことはない」という二重否定を経由する時間や経験の分、関与する人間にとっては、感覚的に違ってくるのかなあ、と、前に読んだ佐藤信夫さんのレトリックのお話しとか連想しながら思いました。

あと、エスパーの女の子が敵さんに対して、自分たちが「負けない」理由を言っているシーンがあるのですが(p144)、『ヴァンドレッド』というアニメの中で主人公のヒビキ・トカイくんも敵さんに対して似たようなことを言っていたなあ、と思って印象的でした。