ジョセフ・S・ナイ・ジュニア『国際紛争[原書第5版]』有斐閣

この本を読もうと思ったのは、この本が国際紛争や戦争を扱ったものの中で有名というか、いい本だと、どこかで聞くか読むか見るかして積読本になっていたためです。

「システム内の主体の意図とはまったく異なるかもしれない結果を、システムは生み出すのである。」(p44)

この本では、戦争や紛争がどのようにして起こるのか、それは何故なのかということが考えられていたと思うのですが、上に引用したような認識に立つと、どのようにして、何故起こるのかを問うことが無意味なようにも思えてくるのですが、次のように書かれた部分もありました。「選択の必要性があるということから、すべては相対的なものにすぎないとか、歴史とは結局でたらめだとか結論しないでほしい。」(p27)

私は、人がたくさん死んでしまうことを単純に悲しいし、嫌だと思います。こういった本を読んで、国際紛争や戦争について知ろうとすることや、発生の仕組みや理由についてどれが「真実」であるかをめぐって、もめることは、その紛争や戦争の現実の中で死んでいってしまう人を救うことには繋がらないように思えて、それでも、ただ部屋の中で座って本を読んでいるのは、知らないよりは知っておいた方がいいという偽善のためですが、そんな自身への自己批判も含めて、よく分からなくなります。

本文の最後のページに書かれている問いかけがとても印象的でした。「未来はどの程度、過去に類似しているのか?」(p320)