山岡光治『地図に訊け!』ちくま新書

この本を読もうと思ったのは、単純にタイトルを見て興味を持ったためです。

読んだのですが、私があまりにも知識がないために書いてあることのイメージができなかったり、分からなかったりして、流して読んでしまいました。私は、パワーポイントの図とか見てもよく分からないことが多くて、文章にしてくれないかなあと思うことがあるのですが、図を読むのが下手なのかなあと思いました。

そんな中でも印象的だったのは、地図の説明をしているところで夏目漱石の小説を引き合いに出している箇所です。山岡さんが、ご自身の仕事をそういった風に、自分の知っている小説の中の一節に関連付けて捉えている人なんだとうかがわれて、なんとなくほっこりしました。

p166に、大卒のキャリアも一緒に(山岡さんは工業高校を卒業されたあとで国土地理院に技官として入所されたそうです。:カバーの裏の著者紹介によると、です。)地図の編集をしていたときのお話しがあるのですが、そこを読んで連想してしまったのが、『すいか』というドラマで浅丘ルリ子さんが演じていた教授のセリフです。最終回だったかで、教授は旅立っていくのですが、そのとき、研究をどうするのですかと聞かれて、勉強はどこにいてもできるわ、って感じのことを言います。この本を読んでいて、山岡さんが地図についてほんとに詳しい(し、地図が好きなんだなあって)ことが、内容を分からなくても伝わってくるのですが、学歴とか、そういったこととは関係なく「知識」には接触することができるんだなあと思いました。こう思うときに何を考えているかというと、専門家と素人がいて、専門家だけが知識を扱えるんじゃなくて、知識を扱える人が専門家なのだということで、うまくいえないのですが、「知る」ということに対して、もっと気楽に向き合えそうな気がしました。

最後に、特に印象的だった箇所を引用します。「どんなに科学が発達しても、現地を調査しなければ地図は作れない。衛星データからの某国の情報ではないが、空からそれなりの情報は得られても、人の気持ちや営みの大部分は読み取れない。地図作成者の現地調査も、写真の中に表現されている中から不明な地物などを選び出して調べるばかりではなく、生活する人々の活動の中から地図に表現すべき発見を探す作業でもある。」(p81)