ロバート・ウェストール『ブラッカムの爆撃機』岩波書店

この本を読もうと思ったのは、この本の存在は知っていたのですが、最近、ちょっとダメダメで、お話を読んで現実逃避しようかなと思ったためです。

宮崎駿さんによる「タインマスへの旅」と、ウェストールさんの短編「ブラッカムの爆撃機」「チャス・マッギルの幽霊」「ぼくを作ったもの」が入っていました。

表題作「ブラッカムの爆撃機」では、主人公一行の飛行機がある出来事に遭遇するのですが、その出来事に対して機長さんの反応は、「親父はきのうの晩、これっぽっちもこわがってなかった。ただ『かわいそうにな』といっただけだ。」(p102)というものでした。クルーの若者たちは、恐怖におびえているのですが、機長(親父)さんだけはこう反応していて、経験の差ってこういう形ででるのかなあと思いました。と、同時に、怖がるのではなくて、「かわいそうにな」って言えるのは、相手の気持ちや境遇を慮ることができているように思えて、こういう風に物事にあたれるようになるまで、生きていたいなあと思いました。

短編は、戦争が舞台になっていますが、「もし世界にはもっとほかの場所があるってことを忘れていられれば地獄だってたえられる。だが国にもどってきて、そこにはまだ天国があるとわかると・・・もう地獄にもどる気にはなれない」(p166)という部分があります。ひどい状況や環境の中で「参ってしまう」ことは、弱さだとして、否定されることがあるかと思うのですが、そういった状況や環境がひどいということをちゃんと認めてもいいのかなあと思いました。

一番、印象に残ったのは、宮崎さんが書いているものの部分です。「少年の忠誠心を否定してはいけません」「煽ったり利用したりするのはもちろん論外ですが 少年達の勇気は、本来悲劇的なのです しかしこの世界の重要な一部です」(p206)なんとなく、国民投票法などの年齢の話とか連想してしまって、印象に残りました。