三井美奈『安楽死のできる国』新潮新書

この本を読もうと思ったのは、『労働ダンピング』を読んだときに、オランダでは、ワークシェアリングの仕組みが整っていると書かれていて、そのことについて書かれた本を探していたところ、この本のことを知ったからです。で、「安楽死のできる国」とはオランダのことでした。

印象に残ったのは、次の箇所です。「『安楽死が容認されると、社会的弱者の障害者や高齢者を『生きていなくていい命』と見なす考え方が広がるような気がするの。それは恐ろしいことよ』」(p134-5)これは三井さんが引用している言葉なのですが、オランダでは、認知症の人や、新生児にも「安楽死」を認める方向のようで、そこでは、前提となる「自己決定権」の自己があいまいになるようで、自分が決めることと、実は他人によって決められていることや選択するよう強いられていることの違いってどーやって知ればいいのだろうと思います。

安楽死は英語でeuthanasiaという。」(p3)私はずっとmercy killingだと思っていたので、意外な感じがしたのですが、mercy killingだとkillするのは誰かとか、mercyを与えるのは誰かとか、死ぬ人本人ではないものの意向が入り込む余地を感じさせる言葉のような気がして、euthanasiaという言葉なら、そういった邪推というか妄想を呼び込む可能性が低いのでそーいう言葉を使うのかなと思いました。

この本全体を読んでいてぼーっと思ったのは、「安楽死」が合法的になることで、例えば自殺と安楽死の境界が揺らいでいくとすると、保険などではどのように扱われるのだろうということでした。