山田昌弘『希望格差社会』ちくま文庫

この本を読もうと思ったのは、何年か前に話題になっていたような気がして、でも読んでなくて、今回文庫になったので読んでみようかなと思ったからです。

山田さんと言えば、「パラサイトシングル」の人というイメージしかなかったのですが、「文庫版あとがき」に「格差社会」という言葉が「ユーキャン新語・流行語大賞」に選ばれたときに、受賞式に呼ばれたと書いてあって、「格差社会」という言葉のブーム化にも一役買っていたのですねって感じで意外でした。

この本の中で説明しようとしている流れは多分、「社会、とりわけ職業、家族、教育システムが不安定化することは、つまりは、われわれの生活が不安定化して、将来設計が描けなくなるということである。たとえ、描いたとしても実現する確率が低くなっている。不安定化する社会に直面して、努力しても仕方がないと希望を失う若者は、あるものは引きこもり、あるものは享楽的消費やアディクションにふけり、あるものはやけになって問題行動を引き起こす。」(p258-9)ということだと思います。本の内容としては、この流れの説明プラス山田さんの考える解決への方向性でできていたと思います。

読んだ感想は、不遜なもので、当たり前のことじゃないのかなと思いました。ただ、この本の出版から結構経っているので、その間に各種メディアを通じてこういった説明が浸透して、自分がそれに触れているためにそう思ってしまうのであって、出版当時は新しい視点を提供していたのかなあと思いました。

気になったのは、この本は若者に焦点があたっていると思うのですが、話題になった当時の購買層ってどうだったのだろうということです。若者ではない人というか、会社とかで「最近の若者はよー分からん」と思っているおじ様方が話しのタネに買ったのでしょうか。それとも、帯とか宣伝とかで、希望について書かれていると知った「若者」が溜飲を下げるために買ったのでしょうか。

私が読んだのは、文庫版だったのですが、先日、偶然単行本を見たときに、その帯に玄田有史さんの言葉で山田さんがパラサイトシングルという言葉を作ったときもそうだったけれど、脱帽するしかないみたいなことが書かれていました。連想したのが、講談社boxというシリーズ(?)があるのですが、それについている編集者さん(?)の言葉で、「この人、天才!」(←表記の正確さに自信はありませんが、こんな感じです。)でした。別に、商業主義がどーとか、ややこしいことを言うつもりはないのですが、ニートフリーター格差社会などを扱った書籍って結構出ていて、同一著者が何冊も出していることがあるかと思うのですが、これって、「格差社会」という「社会問題」にパラサイトしているんじゃ、って思ってしまう私はダメダメですね。