泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』創元推理文庫

この本を読もうと思ったのは、積読の消化のためでした。

タイトルの亜愛一郎は探偵役の名前なのですが、SEO対策のはしりかとか思ってしまいました。彼の推理というか、論理は、他のミステリものとはちょっと違うように感じました。全てを見通しているのではなくて、こうなったら、こうなるなあとどことなく考えていたところで偶然、犯人も同じように考えていて、結果的に見破ってしまうという感じでした。犯人を当てるというよりも、犯人に当てられるって感じで逆向きのように思いました。

あと、「G線上の鼬」というお話しがあるのですが、その中で次のようなセリフがあります。「このように、人はでたらめに物を選ぶことが不得意なものです。(略)でたらめに選択されたようで、そうではない。その朝、放送で聞いて、記憶に残っている歌であるとか、鼻唄が出る直前に耳にして、強い印象を受けた歌でありましょう」(p217)私は、なんとなくこの本を本棚の中から選んで読んだ気でいますが、本当は、なにか理由があったのかなあと思いました。