宮部みゆき『心とろかすような』創元推理文庫

この本を読もうと思ったのは、宮部さんの小説がご無沙汰だったからです。最近、新刊が出て、宮部さんの名前が頭に引っかかっていたことも影響していると思います。

パーフェクトブルー』の続編で、そこでの登場人物たちによる短編連作ミステリでした。語り手は犬のマサでした。

私の通勤路にはいつも、2匹の犬がいます。一匹は大きくて、もう一匹はちっちゃいです。小さいほうは、いたりいなかったりするのですが、大きい方はいつも小屋の前でベターって感じでいます。最初は、私の足音を聞くたびに、スクっと立ち上がって警戒モードに入っていたのですが、最近は足音を聞いても知らん顔をしています。で、その犬なんですが、出勤するときも、帰宅するときも、ほぼ同じような格好でいて、私の知らないところで散歩とかさせてもらっていると思うのですが、鎖につながれて、他の犬とも会わずに一日を過ごす生活ってどんなだろうと思ってしまっていました。もし、自分が犬だったら、寂しいかなあと勝手に同情していたのですが、この本を読んで、もし、犬がこんな精神世界を持っていたら、つまんない人生送っているなあと、同情されているのは、逆に自分の方かもしれないなあと思いました。彼(彼女かも)は私の毎日の風景になっているのですが、もし、死んでしまっても、別に、その家の人と口をきいたこともないし、分からないままなのかなと思うと、それもまた寂しいなあと思いました。

本の内容はとても面白かったです。宮部さんの人間に対する眼差しは、以前思っていたのよりも厳しく感じられて、その点が自分にとってちょっと意外でした。