天藤真『遠きに目ありて』創元推理文庫

この本を読もうと思ったのは、何年か前に小説をたくさん読もうと思い立ったことがあって、そのときに買い込んだものの名残だったためです。

車椅子の少年が探偵役の短編連作ミステリでした。印象的だったのは、「多すぎる証人」で真相にたどりつく際の考え方です。犯罪を隠すために、そこで行われていたミスを自分も日々の生活の中でしているような気がしました。あと、「宙を飛ぶ死」に登場する殺害方法を読んで、昔見た2時間ミステリを思い出しました。そこでは、この本とは違うものが用いられていたのですが、方法は同じでした。そのドラマを作った人もこの本を読んだことがあったのかなあと思いました。

本筋に関係のないところでは、「信頼できるところを聞かれて、警部は毛利探偵事務所を推薦した。」(p234)という箇所が気になりました。青山剛昌さんもこの本を読んでいたのかなあと思ったからです。あと、「あずさ5号の新宿着は午後一時半である。」(p363)とか。「あずさ5号」ってあなたから旅立つためだけの列車じゃないんだあと、アホなことをぼんやり思いながら読みました。