『A』

『A』は森達也さんが監督をされたドキュメンタリ映画です。一連のオウム真理教の出来事の中で広報副部長である荒木さんに焦点を当てた作品でした。

見て思ったのは、報道陣と荒木さんの「交渉」の様子を森さんたちのカメラがとらえている視点が面白いなということです。映している側は自分たちが見ていると思っているようで、その視点の主体に対して逆にカメラを向けることで容易に客体になりうるということが新鮮な感じがしました。よく、悪いことをしたという人を報道陣が取り囲む際に、カメラの映像には、他の報道陣も映りこんでいるにも関わらず、その人たちは「我々」として認識されていて、自動的に悪い人ではない側→良い側と見えている側面があるなあと思いました。あと、通常、スタジオで担当みたいな感じで取材した映像を報告する人がいますが、そういった人たちのスタジオではない顔が見えた気がして、なんか醜悪という単語が頭に浮かんでしまいました。

一番印象に残ったのは、やっぱり不当逮捕のシーンです。今の住居のすぐ横で職務質問(と、いうか自転車のことで止められたのですが)を受けたことが2度あるのですが、その時、「今、急いでますので」とか言って、通り過ぎようとしたら、捕まえられるのかなあと思いました。目的はよく分からないのですが、仮に自分が自転車を盗まれても、その警察の人たちはきっと真剣に取り合ってくれないだろうのに、ちょっとオンボロな自転車に乗っていて、呼び止められるのってなんだかなあと思っていたので、印象に残ったのかもしれません。もし、自分がこの映像に映っているのと同じ方法(いじめのやり方と同じだと思いました。)で逮捕されたら、仮に弁明しても誰も信用してくれない気がして、どうすることもできないなあと思ってとても怖かったです。

オウムの人であれ、公安の人であれ、毎日道を歩くときに偶然すれ違う人であれ、旧知の人であれ、自分に危害を加えてくる人のことはとても怖いです。