ダニエル・キイス『五番目のサリー上』ダニエル・キイス文庫(早川書房)

この本を読もうと思ったのは、数年前、なんか自分の記憶が曖昧な時期があって、昨日だと思っていたのが実は一昨日だったりして、じゃ、昨日、自分は何をしていたのだろうという経験があったからです。完全に記憶がないというわけではないのですが、現実感に乏しいというか、そんな感じで、そんなとき、北川歩実さんの『僕を殺した女』という小説のなかで、『23人のビリーミリガン』について触れられているのを読んで、本当に多重人格を生きている人ってもっとひどい焦燥感にかられたりするのだろうかと思って、多重人格を扱ったものに興味があったときに、古本屋で買ってそのまま、ほったらかしでした。

自分の中に他の4つの人格があることに気づいていない(と、いうか気づきたくない)主人公が他の人格と向きあうようになっていっていました。印象に残ったのは、他の人格を「融合」しようとすることを他の人格からみて、「自分たち」を殺すことになると表現していたことです。『アリー・my・ラブ』というドラマで二重人格がテーマの話数があるのですが、それは二つの人格がどちらを残すかの決定を裁判所に求めるというものでした。で、その人は女性なのですが、夫がいて、片方の人格は奥さんなのですが、もう一方の人格はその夫のことを愛していないという設定で、そこでも人格を統合することをひとつの人格の殺人だというレトリックが用いられていました。上巻を読んだだけなので、この本はどこに着地するのだろうと思います。

最後に、『五番目のマリー』と聞くと高橋真梨子さんを連想してしまうのは、私、だけでしょうか?2時間待っていたとジョニーに伝えなくてはいけないのです。だって、友達だから。って、それは歌が違いました。