岡田光世『ニューヨーク日本人教育事情』岩波新書

この本を読もうと思ったのは、英語の早期教育(特に小学生からのもの)をめぐる議論に対する最近の個人的関心が理由です。この本では、企業の海外駐在によって親についていく子供が現地(つまりニューヨーク)で受ける教育について次の側面から記述されていました。現地校、補習校、日本人学校、塾です。現地校はアメリカの学校でそれこそ、イマージョン教育のような環境のようです。補習校、日本人学校は日本語の環境のようです。塾は、海外駐在ということで、永住ではない可能性が高い中で、日本に帰国する場合、「受験」があるので、その対策の勉強をするようでした。ただ、この本が出版されたのが93年なので、今がどうなっているのだろうとは思いました。

読んで思ったのは、現地校に入った子どもたちは英語ができないことなどで、生徒や先生からいじめられることもあるようで、ストレスは相当なようでした。学校の課題とか夜中の2時、3時までかかって(親がつきっきりで)やっているとか書かれていました。もしも、英語能力の獲得に、ネイティブの環境(つまりアメリカ)にいるということだけではなくて、がんばって勉強するということも影響しているならば、単純に早くから英語に触れさせればいいという問題ではないなあと思いました。

あと、印象に残ったのは、帰国子女が高校などに入るときに、帰国子女枠が設けられたようなのですが、そのとき、帰国子女枠は裏口入学の次にズルいとする見方もあると書かれていたことです。ロジャー・グッドマンという人が確か『帰国子女』という本でパワー理論を展開している(帰国子女であることの特権的側面を説明していると聞いたことがあります。)と聞いたことがあるので、その本を読んでみようかなと思いました。

最後に、当初、日本はニューヨークでの日本人子弟の教育に対して財政的援助を一切行っていなかったようなのですが、そのことに対して「タダ乗り」だという批判があったそうです。奇しくも、現在、教育基本法の変更が言われていますが、国民は国を愛するべきだというのなら、翻って、国は国民を愛しているのかと問うてはいけないのかなあと思ってしまいます。って、こんなことを言うと、品格がないとか言われて怒られるのかなあとびくびくものです。ケネディとか引用して怒られるのかなあ。