ロナルド・ドーア『働くということ』中公新書

この本を読もうと思ったは、最近の就職活動が売り手市場だという報道に何度も触れたからです。自分が就職活動をしていた頃は、超氷河期とか言われていたのですが、それはほんの数年前で、わずかの間に景気とか変わって、素朴に働くってなんなんだろうと思ったので、タイトルを見て読んでみることにしました。この本が出た頃に、日本経済新聞社から同じタイトルの本が出ていますが、内容は異なっているはずです。

印象に残ったのは、次の箇所です。「ある国の言語をアットホームに感じることと、その国の文化をアットホームに感じることとの間に密接な関係があることは周知のとおりです。英語を話すことと、アングロ・サクソン的な心の傾向--アングロ・サクソン社会の制度を「標準」として受け入れ、他の国の制度はその標準から逸脱したものだとする傾向--は並立しています。」(p173-4)これは、ビジネスで用いられる言語が英語であるために、経済界のトップにいるような人たちは、自国の窮状に親近感がわかず、市場個人主義的な方向を向いてしまうといった感じの説明の中で出てくる記述なのですが、「英語がうまくなる」ということの中には、外向的になるという側面も含まれているように思えて、個人的には暗かったり、たどたどしく話したりするアメリカ人とかいると思うのですが、外国語を使うことと、自分の性格を矯正することを分けて考えてはいけないのかなと思いました。(本の筋自体からはとても離れているのですが。)